M E G U R E

私は、人が内側に秘めた感情や意志の背景にある、人間関係や社会構造との葛藤に、幼い頃から触れてきました。
愛が届かなかった無力さで光を見失っていた時期に、歌舞伎の巡回公演と出逢いました。
舞台の光景を見た瞬間、私の中で閉じていた精神が再び、ひらいていきました。

そのような経験を作品へ重ね、内側でひらいた“めぐみ”が外側の世界とめぐり会う姿を描いています。
少女は、循環のキッカケとなる“感触”を具現化した存在です。
触れた“めぐみ”は色となり、光となって、衣装に流れをつくります。
その羽衣を纏った少女が、何処まではためく精神の物語を表現しています。

物語は、私自身の死生観、バレエや能といった舞台芸術、自然、渡り鳥の生態からインスピレーションを受けています。
アクリルガッシュ、ポスターカラー、墨、胡粉、箔、和紙などの画材を用い、繊細な光影がめぐる世界観へと昇華しました。